天皇及び宮家に関するさまざまな儀式や祭祀につい紹介していきます。
儀式
近代以後における皇室の儀式は、かつて大日本帝国憲法及び旧皇室典範下の皇室令で細かく規定されていましたが、現日本国憲法及び皇室典範下で廃止された現在でも、基本的には概ねこれに従って行われています。
皇室の儀式には2種類あり、日本国憲法第7条で定めている「国事行為の儀式」と「皇室の私事で行われる私的行為の儀式」に区別されています。
懐妊 – 誕生
- 御着帯(おんちゃくたい)
懐妊した女性皇族が、妊娠9か月目の戌の日に、安産を祈念して行う。 - 御帯進献の儀(おんおびしんけんのぎ)
天皇から生平絹(きのひらぎぬ)の帯が贈られ、帯親が遣わした宮務官が懐妊中の女性皇族に届ける。 - 賢所皇霊殿神殿に着帯奉告の儀(かしこどころこうれいでんしんでんにちゃくたいほうこくのぎ)
- 賜剣の儀(しけんのぎ)
皇室に子供が生まれた際に、天皇から子供の健やかな成長を願い子を守る目的の守り刀を授かる儀式。 - 胞衣埋納の儀
胞衣(胎盤)を納めた壺を地中に埋める。 - 浴湯の儀(よくとうのぎ)
誕生7日目に行われる。部屋を二つに仕切り、一方で女官が子を湯浴みさせる。 - 命名の儀(めいめいのぎ)
誕生7日目に行われる。この儀式の翌日に正式な皇室の一員として皇統譜に名が記録される。一般における「お七夜」。 - 三殿奉告の儀(さんでんほうこくのぎ)
命名の儀と同時刻に、代拝者が宮中三殿に子の誕生と命名を奉告する。 - 賢所皇霊殿神殿に謁するの儀(かしこどころこうれいでんしんでんにえっするのぎ)
一般における「お宮参り」。 - お箸初めの儀(おはしぞめのぎ)
一般における「お食い初め」。
成長
- 着袴の儀(ちゃっこのぎ)
数え歳で5歳の時に、『賜剣の儀』の際に贈られた袴を着用する儀式。 - 深曽木の儀(ふかそぎのぎ)
着袴の儀に引き続き行われ、松と山橘の小枝を持って碁盤の上に乗り、子の髪を少し切った後、掛け声とともに飛び降りる。 - 成年式
皇族男子が成年に達した際に行われる。 - 冠を賜うの儀
成年となった皇族男子が冠を受け取る。 - 加冠の儀(かかんのぎ)
成年した皇族男子が、天皇・皇后の前へ歩み出て感謝と覚悟を奏上する。 - 朝見の儀
成年になってはじめて、天皇・皇后に会う儀式。
立太子
- 賢所大前の儀
- 参内朝見の儀
- 神宮に勅使発遣の儀
- 山陵に勅使発遣の儀
- 神宮に奉幣の儀
- 山陵に奉幣の儀
- 賢所、皇霊殿、神殿に奉告の儀
- 賢所、皇霊殿、神殿に謁するの儀
- 皇太后に朝見の儀
- 宮中饗宴の儀
結婚
- 納采の儀(のうさいのぎ)
一般における「結納」 - 勲章並びに御剣を賜ふの儀(くんしょうならびにぎょけんをたまわうのぎ)
納采の儀のあとに行われる。 - 告期の儀(こっきのぎ)
天皇側の使者が女性側に結婚の日取りを連絡する。 - 贈書の儀(ぞうしょのぎ)
結婚前日に婚約者同士で和歌を贈り合う儀式。 - 入第の儀(じゅだいのぎ)
結婚の儀当日、女性側に迎えの使者を送る。 - 結婚の儀(けっこんのぎ)
男女で宮中三殿の賢所に拝礼する。一般における「結婚式」。 - 賢所皇霊殿神殿に謁するの儀(かしこどころこうれいでんしんでんにえっするのぎ)
結婚で皇籍離脱(降嫁)する女性皇族が、先祖や神々に結婚することを報告する。 - 朝見の儀(ちょうけんのぎ)
両人が夫婦として初めて天皇・皇后に会う儀式。 - 供膳の儀(くぜんのぎ)
両人が、帰宅した後、自宅で行われる。 - 三箇夜餅の儀(みかよのもちのぎ)
子孫繁栄を祈念し、寝室で行われる。 - 宮中饗宴の儀(きゅうちゅうきょうえんのぎ)
数日にわたって祝宴が催される。一般における披露宴。 - 神宮に謁するの儀
両名が三重県伊勢の神宮に結婚を報告する。
即位・践祚
- 剣璽等承継の儀(けんじとうしょうけい)
- 剣璽渡御の儀
神鏡は賢所に奉安してあるため、天叢雲剣と八尺瓊勾玉(剣璽)のみ渡御をする。 - 即位後朝見の儀
国事行為。新天皇が、はじめて声明を発表する。 - 賢所に期日奉告の儀
賢所の儀(かしこどころのぎ) - 皇霊殿神殿に期日奉告の儀(こうれいでんしん)
賢所の儀の同様の儀式を、宮中三殿・皇霊殿、神殿で行う。 - 神宮神武天皇山陵及び前四代の天皇山陵に勅使発遣の儀
- 神宮に奉幣の儀
- 神武天皇山陵及び前四代の天皇山陵に奉幣の儀
- 斎田点定の儀
- 斎田抜穂の儀
- 即位礼当日賢所大前の儀
- 即位礼当日皇霊殿神殿に奉告の儀
- 即位礼正殿の儀(そくいれいせいでんのぎ)
国事行為。新天皇が即位したことを、自身で内外に宣明する。 - 祝賀御列の儀(しゅくがおんれつのぎ)
国事行為。 - 饗宴の儀
国事行為。 - 神宮に勅使発遣の儀
- 大嘗祭前一日鎮魂の儀
- 大嘗祭当日賢所大御饌供進の儀
- 大嘗祭当日皇霊殿神殿に奉告の儀
- 大嘗宮の儀(だいじょうきゅうのぎ)
大嘗祭のこと。 - 大饗の儀
- 即位礼及び大嘗祭後神宮に親謁の儀
- 即位礼及び大嘗祭後神武天皇山陵及び前四代の天皇山陵に親謁の儀
- 即位礼及び大嘗祭後賢所に親謁の儀
- 即位礼及び大嘗祭後皇霊殿神殿に親謁の儀
- 即位礼及び大嘗祭後賢所御神楽の儀
- 賢所に期日奉告の儀
- 皇霊殿、神殿に期日奉告の儀
- 神宮神武天皇並びに前代四帝の山陵に勅使発遣の儀
- 神宮に奉幣の儀
- 斎田点定の儀
- 斎田抜穂の儀
- 京都に行幸の儀
崩御・薨去
天皇・皇后・太皇太后・皇太后
- 櫬殿祗候(しんでんしこう)
遺体を櫬殿に安置し、崩御した天皇や皇后などに別れを告げる。一般の仮通夜にあたる。 - 拝訣の儀
遺された皇族が櫬殿に安置された遺体に最期の別れを告げる。
御舟入の儀(おふないり)
遺体を棺に納める一般の納棺に当たる(御舟入)。 - 斂棺の儀
内棺を、外側の銅の棺に納める。 - 陵所地鎮祭の儀
御陵予定地を祓う儀式。 - 殯宮移御の儀(ひんきゅういぎょ)
天皇の棺を櫬殿から殯宮に移す儀式。一般の通夜にあたる。 - 櫬殿祓除の儀(しんでんばつじょ)
- 殯宮日供の儀(ひんきゅうにっく)
霊前に供え物を毎日欠かさず奉る。 - 殯宮移御後一日祭の儀
- 殯宮拝礼の儀
- 殯宮二十日の儀
- 追号奉告の儀
霊前に追号が決まったことを奉告する。 - 殯宮三十日の儀
- 殯宮四十日の儀
- 陵所祓除の儀
- 霊代奉安の儀
霊代(たましろ)を宮殿の表御座所に奉安する儀。 - 斂葬前殯宮拝礼の儀(れんそう)
- 斂葬当日殯宮祭の儀
- 轜車発引の儀(じしゃはついん)
一般の出棺にあたる。 - 葬場殿の儀
皇室の行事。惣華輦に遷しかえられた霊柩が葬場殿に向かう。 - 大喪の礼
国事行為。国葬で、天皇のみ行われる。 - 陵所の儀
埋葬の儀式。 - 権殿日供の儀
- 山陵日供の儀
- 斂葬後一日権殿祭の儀
- 権殿五十日祭の儀
- 斂葬後一日山陵祭の儀
- 山陵五十日祭の儀
- 倚廬殿の儀(いろでん)
喪に服す。 - 権殿百日祭の儀
- 山陵百日祭の儀
- 山陵起工奉告の儀
- 山陵竣工奉告の儀
- 権殿一周年祭の儀
- 山陵一周年祭の儀
- 御禊の儀(みそぎ)
- 大祓の儀
その他の皇族
- 正寝移柩の儀
- 正寝日供の儀
- 正寝移柩後一日祭の儀
- 正寝十日二十日三十日四十日及五十日祭の儀
- 墓所地鎮祭の儀
- 墓所祓除の儀
- 霊代安置の儀
- 斂葬当日柩前祭の儀
- 霊輿発引の儀
- 斂葬の儀
- 葬場の儀
- 墓所の儀
- 正寝祓除の儀
- 斂葬後一日権舎祭の儀
- 権舎日供の儀
- 斂葬後一日墓所祭の儀
- 墓所日供の儀
- 権殿十日二十日三十日四十日及五十日祭の儀
- 山陵十日二十日三十日四十日及五十日祭の儀
- 御禊の儀
- 権舎百日祭の儀
- 山陵百日祭の儀
- 権舎一周年祭の儀
- 墓所一周年祭の儀
宮中祭祀
宮中祭祀は、五穀豊穣や国家国民の安寧を祈る祭祀で、代表的なものは主に現在の祝日にあたる日に行われています。
年間主要祭儀
1月
1日 | 四方拝(しほうはい) 歳旦祭(さいたんさい) 新年祝賀の儀 |
---|---|
2日 | 新年一般参賀 |
3日 | 元始祭(げんしさい) |
4日 | 奏事始(そうじはじめ) |
7日 | 先帝祭(昭和天皇祭=しょうわてんのうさい) |
30日 | 孝明天皇例祭(こうめいてんのうれいさい) |
2月
17日 | 祈年祭(きねんさい) |
---|---|
23日 | 天長祭(てんちょうさい)(天長節祭) |
3月
春分の日 | 春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい) 春季神殿祭(しゅんきしんでんさい) |
---|
4月
3日 | 神武天皇祭(じんむてんのうさい) 皇霊殿御神楽(こうれいでんみかぐら) |
---|
5月
6月
16日 | 香淳皇后例祭(こうじゅんこうごうれいさい) |
---|---|
30日 | 節折(よおり) 大祓(おおはらい) |
7月
30日 | 明治天皇例祭(めいじてんのうれいさい) |
---|
8月
9月
秋分の日 | 秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい) 秋季神殿祭(しゅうきしんでんさい) |
---|
10月
17日 | 神嘗祭(かんなめさい) ※天皇がその年の新米を伊勢神宮に供える祭事。 |
---|
11月
23日 | 新嘗祭(にいなめさい) ※天皇が新穀を天地の神に供え、自らもこれを食する祭事。 |
---|
12月
中旬 | 賢所御神楽(かしこどころみかぐら) |
---|---|
25日 | 大正天皇例祭(たいしょうてんのうれいさい) |
31日 | 節折(よおり) 大祓(おおはらい) |
コメント