3. 水・海・嵐のドラゴン(水棲・嵐・洪水を司る竜)
海・川・湖・雨・洪水・嵐と深く結びつくドラゴンをまとめたカテゴリー。神格的な水竜から、地域の水辺に棲む怪物まで幅広い。
- Ikuchi(イクチ)
日本の伝承に登場する長大な水の竜。海面を漂い、船にまとわりついて沈めるとされる、海に棲む不気味な水竜。 - Tatsu(タツ)
日本の一般的な竜で、水と天候を司る存在。川・雨・海との結びつきが強く、海竜・水神として信仰される。 - Ryū(竜/リュウ)
日本の水に宿る竜。三本爪で描かれ、水・雨・川を支配するとされる。竜神信仰とも密接に関わり、善良な水の守護竜として語られる。 - Ryūjin(龍神)
日本の海の竜王。潮の満ち引きや天候を司り、海底宮殿に住むとされる。雨乞いや航海守護の中心的な存在。 - Kuzuryū(九頭竜)
九つの頭を持つ水神的な竜。湖や渓谷の伝承に登場し、水難・洪水と結びつく一方、信仰の対象として祀られてきた。 - Gozuryū(五頭竜)
五つの頭を持つ日本の湖・海にまつわる竜。災いをもたらす存在として描かれる一方で、鎮められ守護者となる伝承もある。 - Bakunawa(バクナワ)
フィリピン神話の海竜。もとは美しい女神ともされる巨大な海蛇で、月や太陽を飲み込み日食・月食を起こすと信じられた。 - Láwû(ラウー)
フィリピン・カパンパンガン神話の蛇型怪物。月を飲み込み月食を引き起こすとされる、天空と海の境界にある水の竜。 - Olimaw(オリマウ)
フィリピンの翼ある水竜。死霊と結びつく亡霊竜として描かれ、こちらも月を飲み込む存在とされる。 - Sawa(サワ)
フィリピン神話の巨大な海蛇。月や太陽を飲み込もうとするが、太陽神アポラキらによって阻まれる水竜的存在。 - Samal Naga(サマル・ナガ)
フィリピン伝承の天の川に囚われた大竜。やがて解き放たれ、神々に背く者を飲み込むとされる“天と海の竜”。 - Kanlaon dragon(カンラオン・ドラゴン)
フィリピン・ネグロス島の山岳に棲む狂暴な竜。火山・雨や嵐の力と関連づけられることもあり、英雄ラオンによって討たれたとされる。 - Naga / Nogo(ナガ/ノゴ)
インド〜東南アジアに広がる水・雨の竜。神聖で慈悲深く、湖・川・海・山の水源に宿る精霊的存在として広く信仰されている。 - Antaboga / Anantaboga(アンタボガ)
ジャワ/バリの世界蛇。創造神的存在で、世界を支える大蛇として描かれ、水・大地・冥界と結びつく。 - Neak(ネアック)
カンボジアのナーガ。コブラのフードを持ち水源を守る霊的存在で、建国神話にも関わる重要な水竜。 - Rồng / Long(ロン)
ベトナムの水竜。螺旋状の尾と背びれを持ち、水と雨を司る国家的シンボル。五本爪の竜王は特に神聖視される。 - Con Rit(コン・リット)
節状の体を持つ海の怪物。海竜型怪異として語られ、深海の恐怖を象徴する存在。 - Grootslang(グルーツスラング)
南アフリカの巨大な洞窟に棲む象大の蛇。水辺の淵・洞穴と結びつき、古代の原初的な水竜として語られることもある。 - Monyohe(モニョヘ)
ソト族の水竜。川や水辺に結びつき、人間へ変化したり精霊的な力を示す水の怪物。 - Masingi(マシンギ)
ツォンガ族の“癒しの水竜”。清浄な泉に住み、人々を治癒する守護的な水の精霊ドラゴン。 - Taniwha(タニファ)
マオリ神話に登場する水の主。川の深い淵・洞窟・海の潮流に棲み、守護者にも怪物にもなる強力な水竜。 - Piasa Bird(パイアサ・バード)
北米先住民の翼ある怪鳥/水竜。ミシシッピ川沿いの断崖の壁画で知られ、水と死の象徴として恐れられた。 - Gaasyendietha(ガアシエンディエサ)
五大湖周辺に棲むとされる湖の火を吐く水竜。湖の深淵と炎の両面を持つ珍しい水竜像。 - Palulukon(パルルコン)
ホピ族の泉・地下水に関わる蛇の精霊。水の恵みと災いを司る、北米先住民の代表的な水竜。
4. 地下・大地・火山・冥界のドラゴン
火山・地熱・地底・冥界など“地の力”を象徴する竜をまとめたカテゴリー。宝や洞窟を守る守護竜から、地獄的な災厄竜まで幅広い。
- Orochi(大蛇)
日本神話の八つの頭と尾を持つ巨大な蛇。斐伊川流域を荒らす災厄として恐れられ、須佐之男命に討たれる。地形・水害と結びつく強力な地の怪物。 - Yamata no Orochi(八岐大蛇)
日本神話で最も有名な巨大竜蛇。山から山へと跨るほどの規模で、火・血・鉄と結びつく。地底や火山的イメージを持つ象徴的怪物。 - Wani(ワニ)
古代日本で竜や海蛇を指す語。海底や水中の洞穴に棲むとされ、古事記・日本書紀において竜蛇として登場する。 - Kihawahine(キハワヒネ)
ハワイの湖・湿地を守る女性の形の竜蛇。水辺の守護者であると同時に、土地の霊力と結びつく“地と水の女神的ドラゴン”。 - Grootslang(グルーツスラング)
南アフリカの洞窟に棲む象大の蛇。宝や洞穴を守るとされ、古代から続く“原初の地底竜”として恐れられた。 - Monyohe(モニョヘ)
南部アフリカの地底・水辺と結びつく蛇竜。人に化ける精霊的性質も持ち、地下の領域を支配する守護者または怪物として語られる。 - Nguma-monene(ングマ・モネネ)
中央アフリカで語られる巨大な地上・沼地の竜蛇。体長の長さと地を揺らす巨体が特徴で、地表の怪獣として恐れられた。 - Nguruvilu(ングルヴィル)
チリの川や渓谷に棲む狐と蛇の混成竜。深い渓谷の底に潜み、水底・地の境界と深く関わる妖竜として伝わる。 - Campe(カンペ)
ギリシャ神話の地底を守る怪物。蛇・蠍・ドラゴンの特徴を併せ持ち、地下の監獄タルタロスを守る存在。 - Drakon Hesperios(ヘスペリデスの竜)
黄金の林檎を守る“地の守護竜”。宝物・植物・大地と関わり、地底・庭園の守護者として描かれる。 - Tarasque(タラスク)
フランスの地竜。甲羅・六本足・龍蛇の皮膚など複合的な身体を持つ。洞窟や河川域に棲み、地形・土地の怪物として知られる。 - Bolla(ボラ)
アルバニアの洞窟に棲む竜蛇。普段は目を閉じて眠るが、毎年特定の日に目を開け、その瞬間に破壊と災厄をもたらす地竜。 - Kulshedra(クルシェドラ)
ボラが長い年月で進化・変貌した姿。地下の熱・火山的エネルギーをまとい、災害を引き起こす恐るべき魔竜として描かれる。 - Gurangatch(グランガッチ)
オーストラリア先住民神話の巨大な地竜。水辺と大地の境界を移動し、追跡劇の中で谷や川を生み出したとされる“地形創造竜”。 - Yawkyawk Serpent(ヨウキョウク・サーペント)
オーストラリアの泉・地底に棲む水竜。女神的存在の側面があり、地底水脈・洞窟と結びつく。 - Amhuluk(アムフルク)
北米の大湿地に棲む巨大な三眼の水・泥竜。沼地の地形と密接に結びつき、引きずり込む恐怖として伝わる。

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